※ご所属、肩書きはインタビュー当時のものです。
化粧品製造・販売でおなじみの株式会社コーセーでは、店頭の美容スタッフが使用するiPadの導入を2013年から始めました。女性にとって身近な化粧品売り場にデジタルデバイスが導入されることで、販売側や顧客にはどのようなメリットがあるのか、お話をうかがってきました。今週と来週の2回にわたってお届けします。
▲情報統括部システム企画課
金澤龍次さん(左)鈴木総一さん(右)
シンプルなシステムやヘルプデスクで美容スタッフをサポート
Happyデジタル:
iPadの現在の導入状況を教えてください。
情報統括部システム企画課 金澤龍次さん:
百貨店、大型スーパーなどの総合小売店、専門店の、約800の店舗に約1,500台が導入されています。iPadには「K-PAD」という専用の店頭支援システムが搭載され、このシステムで顧客管理、売上管理、在庫管理や棚卸、売上分析などができます。
Happyデジタル:
K-PADのシステムを、美容スタッフの方々はどのように使っているのですか?
金澤さん:
接客の際には、まずお客様のお名前で検索をして、購買履歴などお客様情報を確認いたします。お客様が商品を購入される場合は、商品パッケージのバーコードを専用のスキャナでスキャンし、購入履歴として登録します。ほかに、在庫管理や棚卸などの作業にも活用しています。
▲バーコードをスキャンするだけで、
すばやく購入商品を記録できます
Happyデジタル:
導入にあたって美容スタッフの研修は、どのようにしたのですか?
金澤さん:
エリアごとに全国の支店にて、集合研修を実施しました。3時間ほどの研修を、実際にiPadを操作しながら受講していただきました。
Happyデジタル:
3時間の研修で業務に使えるようになるのですね。
情報統括部システム企画課 鈴木総一さん:
はい。機能を絞り込み、使いやすくシンプルなシステムにしていますので、3時間でも習得していただくことが可能です。
Happyデジタル:
美容スタッフの方々には、システム化に対する抵抗感などはありませんでしたか?
金澤さん:
日頃からスマートフォンを使用しているかなど個人差はありますが、iPadは抵抗感なく使用していただけるデバイスであると考えます。
▲専用のヘルプデスクを設けて対応しています
Happyデジタル:
美容スタッフの方々にとっては安心ですね。でも操作等がわからない場合などは、電話での問い合わせを受け付けているのですか?
金澤さん: そうです。問い合わせのほか、ヘルプデスクにはシステムに対する要望も寄せられるので、システム運用に携わるメンバーで貴重な情報として共有し、検討しています。
時間短縮はスタッフにもお客様にもメリットが大きい
Happyデジタル:
デジタルデバイスの導入による大きなメリットとしてまず考えられるのは、業務の効率化、時間の短縮ですね。
金澤さん:
現在iPadが導入されているのは800店ほどですが、実はそのうち約700店では、K-PAD導入前は紙の書類に手書きで処理をしていたのです。
鈴木さん:
お客様が来店されると、紙の台帳をめくってお客様の書類を探す必要がありました。お客様の情報を検索できるようになったことだけでも、大幅な時間の短縮です。
▲時間の短縮が実現しました
Happyデジタル:
それは、お客様にとってのメリットでもありますね。
チェーンオペレーション推販部美容教育課 辻 愛子さん:
そうですね。お客様の待ち時間が短くなりますし、書類を扱う時間が短くなった分、お客様に時間をかけて接することができます。
鈴木さん:
販売に関するレポートの提出にも使えるシステムなので、それも時間の短縮としては大きいですね。
辻さん:
ダイレクトメールを出すときも、以前は台帳をめくってどなたに出すかを決め、宛名を手書きしていました。これも、システム上でお出しするお客様を決めて、宛名をプリントアウトできるようになりました。
▲チェーンオペレーション推販部美容教育課 辻 愛子さん
金澤さん:
在庫管理や棚卸で個々の品目をチェックするときにも、バーコードのスキャン機能を使えます。お店に入荷した商品の数は物流のシステムと連動していますし、在庫が一定数を下回った場合には自動的にアラートを出す機能も搭載しておりますので、在庫管理も効率がよくなりましたね。
iPadの導入によりさまざまな面で業務の効率が上がり、美容スタッフにも顧客にもメリットがあることがわかりました。しかし、メリットはそれだけではありません。iPadの活用についてさらに後編でお伝えします。どうぞお楽しみに。