子供たちにプログラミングの楽しさを伝えたい:橋爪香織さんインタビュー(前編)

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2020年度から小学校でのプログラミング教育が必修科目に入るのではといわれている昨今、全国各地でプログラミングスクールが展開されたり、プログラミングの組織・団体がイベントを開催したりとプログラミング教育への熱が加速しています。そこで今回は株式会社チェリービット代表取締役 橋爪香織さんにお話しを伺いました。

橋爪さんはいち早くプログラミング教育に着目し、子供たちへその楽しさを教えています。書籍を執筆するだけでなく、オンライン学習「Udemy」の子供向けプログラミング講座では講師も担当、また「CoderDojoさいたま」のチャンピオン(代表)もしており、子供たちに色々な経験をさせてあげたいという想いが今の原動力となっています。

前編では、橋爪さんに会社員時代の仕事内容に加え起業するまでの経緯、そしてMITメディアラボ開発の子供向けプログラミングツール「ScratchJr」に携わることになったきっかけについてお話しいただきます。

株式会社チェリービット 代表取締役 橋爪香織さん

▲株式会社チェリービット 代表取締役 橋爪香織さん

会社員時代、開発したアプリが受賞した経験もあるんです!

戸田:
ScratchJrに着目したきっかけを教えてください。

橋爪香織さん(以下 橋爪さん):
5年ほど前までメーカーに勤務しエンジニアをしていましたが、その頃から子供向けのプログラミング事業をやりたいなと思っていました。

戸田:
会社員時代からですか? それはどのような経緯で?

橋爪さん:
メーカー勤務時代は入社当時は通信機器のハードウェア設計、結婚後はサーバーサイドやフロントエンド、組み込み機器のソフトウェア開発などをしていました。また、Android OSが世の中に出始めた時期からAndroidの調査をしたり社外から最新情報を取り入れて社内に展開する役割もしていました。

戸田:
年代でいうと、2010年頃でしょうか?

橋爪さん:
退社する3年ほど前ですから…そうですね、2009年以降です。社内でそのような役割を果たしていたので、社外のコミュニティに属して勉強会に参加したり、ワークライフバランスについてディスカッションするGoogle主催のイベントに登壇したり、社内外でAndroidについての研修を担当するなどの経験もあり、一般的なSE(システムエンジニア)の仕事以外にも、幅広く仕事をこなしていました。

戸田:
ABC(Android Bazaar and Conference)などにも行かれていましたか?

橋爪さん:
ABCには初期の頃から参加していて、そこからの経緯でAndroid女子部でイベントを開催していました。

戸田:
Android女子部の立ち上げメンバーだったんですね。

橋爪さん:
はい。ですので、社外で女子向けのアプリの企画や制作をすることもしていました。

戸田:
橋爪さんの自作アプリもあるのでしょうか?

橋爪さん:
はい。トイレットペーパーやシャンプー、冷蔵庫の中身など、自宅の在庫管理ができる主婦向けの無料アプリを制作しました。私自身買い物に出かけるたびにメモ書きをした後更にチェックをして…という作業が面倒だったので、それだったらアプリにしちゃえと(笑)。

そのアプリは「au コンテンツフォーラム 2011」でau one Market掲載アプリの優秀賞を受賞しました。当時はアンドロイダーなどのアプリの媒体が出始めた頃だったこともあり、色々取り上げていただきました。またTV番組にも出演させていただいたこともあります。

戸田:
すごいですね! アプリの名前は?

橋爪さん:
「Okusama」です。海外からも人気があったアプリなんですよ。現在もGoogleストアにアップされていますが、バージョンアップをしていないため、残念ながら今のOSのバージョンには対応していません。

会社勤務、子育てと並行しながらAndroid女子部の活動をされたり、アプリ制作もし、積極的に活動をされていた橋爪さん。この後子供たちにプログラムを教えるきっかけとなる出来事が起こります。

子供たちが見せた驚きの表情に魅せられました!

橋爪さん:
そんな中、会社のCSR(Corporate Social Responsibility)活動の一環で公立の小学校へロボットについて教えに行くという事業があり、私もお手伝いに行きました。その時初めて子供たちに「教える」という経験をしました。

戸田:
その時はプログラミングではなく?

橋爪さん:
そうですね。ロボットアームをプログラムで動かすようなことを理科の授業の中で行いました。これまで大人にしか教える経験をしてこなかった私にとって、子供との交流はとても新鮮でした。ロボットアームが動いた時の子供たちの驚きの表情を見ていると教えていた私自身ゾクゾクと感じるものがありました。そして子供たちのキラキラした目と敏感な反応に、やってよかったという達成感をおぼえました。

そこから、子供たちに向けて教えたいという気持ちが強くなり上司に相談したところ、残念ながら願いが叶わなかったため、“一人でもいいから自分でやってみよう!”と思い退職しました。それが2012年の6月の末で、翌月7月2日に会社の登記を済ませました。

戸田:
素晴らしい! すごい行動力ですね。

橋爪さん:
その時には子供向け…だけでなく、これまでのAndroidアプリの開発や研修スキルもあるので、一人で頑張ってやってみようと思いました。会社を立ち上げると前職在職中の対外活動で交流があったベネッセコーポレーションの方から、MITメディアラボで開発したScratchなどのようなデジタルなツールをどうにか子供たちの教育に取り入れたいと提案があり、そこでScratchJrに出会いました。

実はScratchは8歳以上が対象ですが、そこでは「未就園児向けに開発しているプログラムがあるので、一緒に日本でも盛り上げていきましょう」という話になりました。それが、ScratchJrだったんです。

当時はまだScratchJrはiPad向けだったため、Android向けに開発するのであれば、私が持っているAndroidのスキル知識でサポートできると働きかけたところ、当時の開発メンバーとも関わることになりました。そのような経緯で、ScratchJrに関わるようになったんです。

戸田:
なるほど、そういうことだったんですね。

後編は、独立してからの橋爪さんの仕事内容、プログラミング教育への想い、そして将来の目標などをインタビューします。どうぞ、お楽しみに。

後編に続く

この記事を書いた人

なお
なおNao
Happyデジタルの編集を担当。静岡県在住。
パソコン講師・情報教育アドバイザー・メルマガ&ブログライターを経て現職。
女性・シニア向けのパソコンサロンを開催。自分史活用アドバイザー。
趣味は映画観賞、読書、旅行。スマホ好きが高じて、現在プログラミングを勉強中です! 

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