EdTech座談会「米国、中国、日本のプログラミング教育の現場から」

EdTech座談会「米国、中国、日本のプログラミング教育の現場から」
by Happyデジタル編集部 公開日:2019/11/15 / 最終更新日:2019/11/15
写真左より、ゲスト:田中裕美氏(シリコンバレー在住)、長田有喜氏(デジタルハリウッド大学教授)、進行役:戸田江里子(株式会社ハッピーコム 代表取締役)

2020年度からプログラミング教育が小学校で必修となり、教育関係者・評論家によるセミナー、教材・塾のPRを目にする機会は増えています。
「Happyデジタル」では、2018年11月にEdTechの現状についてゲストを迎えて座談会を開催、今後の日本や海外の動向や、親として知っておきたい概要について、意見交換を行いました。

国内の事例紹介「プラチナ未来スクール」

国内の例として、ハッピーコムのIT インストラクターの子供(小学4年生)が通う、NPO法人プラチナ未来スクール が運営するプログラミング教室の事例紹介を行いました。
プラチナ未来スクールは、企業を退職したシニアが中心となり、地元の子供を対象にプログラミングなどを指導。経験豊かなシニアの指導で、好奇心豊かな子どもの期待に応えるカリキュラムが特徴です。校長は元東大学長の小宮山氏。

長田氏が米国の書店で購入した子供用STEMガイドブック

アメリカの iD Tech 主催のサマースクールに参加して

次はデジタルハリウッド大学教授の長田有喜氏による体験談。
小学校 5 年の娘さんをバイリンガルに育てる目的もあり、家族で毎年夏休みに米国に滞在、娘さんは現地でサマースクールに参加しています。
アメリカのサマースクールは、どんな内容なのでしょうか。

長田氏のお子さんは、一昨年の夏、アメリカ、デンバー大学で開催された iD Tech 主催のプログラミングを学ぶサマースクールでScratchを学ぶコースに参加。アメリカの STEM 教育(Science, Tecnology, Engineering and Mathmatics)は、ロジカル思考を強く学ばせる傾向があり、多くのメニューが用意されています。

屋外でウォーミングアップ。太陽の下、一人ひとりがプログラミングのパーツになり、それぞれのルールに従って、ゲームをしながら、プログラムの考え方を学びます。体でロジカルシンキングを学びます。
先生は、数学、科学の博士号の取得を目指す学生。学生とは言え、サマースクールの先生になるためには、教授法などの試験の合格が必須となっています。プロに徹し、子どもに接する姿が素晴らしいと感じたそうです。

サマースクールは、インド系アメリカ人の子どもが多く参加していた印象だったそうです。言うなれば学童保育の US 版ですが、参加費が高額のため、共働きで比較的年収が高く、また教育熱心な両親を持つ子どもが参加しているようでした。
子どもの年齢別に興味を引く工夫が随所にされています。最終日に、全員が両親をはじめ皆の前でプレゼンテーションをします。そのことで、自分の習得したことをより深く、また他人からどのように見られているのかを客観的に知ることが出来ます。
長田氏によると、プログラミング教育とは「教室内で学ぶこと」だと想像していたそうですが、アクティビティを通して、体で学ぶ、飽きずに学ぶことを重視している点に驚いたと語っていました。
アメリカの書店には、たくさんの子供向けのScratch、コーディング、アプリ制作に関する書籍が並んでいて、中身は MIT メディアラボの先生など専門家が執筆、子どもにも段階を踏んで理解できるよう工夫がされています。

左 田中裕美氏、右 長田有喜氏

アメリカ シリコンバレー在住の田中氏の場合は

田中裕美氏は、シリコンバレー在住の日本人。「Happyデジタル」の記者、ビジネスコーディネーターとして活躍中です。オーストリア出身のプログラマーのご主人との間に高校生の子どもが二人。教育方針としては、両親のそれぞれの母国語の語学に力を入れているそう。
子どもが小学生の頃、プログラミングには特別に興味を示さなかったので、特に強要はしなかったそうです。
ただ、家庭では、iPhone・iPad を早い段階から子どもが使っていたとのこと。その際、子供にはネット犯罪・危険性についての説明をして理解してもらうよう務めたそうです。今はプログラミングに興味を示さなくても、無理にさせるのではなく、子どもの自主性に任せているとのこと。
アメリカでは、高校 1 年からプログラミングのクラスがあり、約 30 名が 1 クラス。それぞれ、目的はさまざまで、単位のため、プログラミングが好きなど。
国土の広いアメリカでは州ごと地域格差があり、財政に余裕がある自治体とそうでない自治体に差があるという話です。つまり、シリコンバレーに住んでいるから、みんながみんなプログラミングなど高い関心があるわけではなく、美術に関心がある人、スポーツに関心がある人など様々です。
6 月初めから 8 月初め、2 か月以上夏休みがあるキャンプ専門で。基本的には、市が運営。ロボット・レゴがテーマで1週間、半日を毎日通い、100 ドルから 150 ドルが相場だそうです。

北京で行われた EdTechイベント「GET2019」 の報告

最後に「Happyデジタル」を運営するハッピーコム 代表の戸田から、北京で開催されたEdTechイベント「GET2019 (Global Education Tecnology)」の取材報告がされました。GETは2017 年から開催され、2018 年はスピーカー300 名以上、参加人数はは世界各国から 7,000 名以上の大規模イベントでした。講師とのマッチングアプリ、AI技術を活用した学習教材や遠隔授業システムなど新しい試みが紹介されました。

AI導入がEdTechのトレンド

終わりに

子を持つ親にとって、どんな教育を受けさせるかはとても重要なこと。そんな中で、プログラミング教育は、将来の職業選択の一つと言うよりは、プログラミングを学ぶことによって、論理的に考える力や創造力、問題を解決できる能力を養うことができる点が大きいと感じました。
アメリカのプログラミング教育の現状を聞き、教える側の水準も問われます。子どもは何より楽しいことが好き、まず体で覚え、その中から学びにつなげていく、そしてそれが一生の武器になる、プログラミング教育はその一助になると思いました。

 

 

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