小さなLOVEが、世界を変える。LOVEをはぐくむ家族型ロボット「LOVOT」を生み出したGROOVE X株式会社インタビュー

小さなLOVEが、世界を変える。LOVEをはぐくむ家族型ロボット「LOVOT」を生み出したGROOVE X株式会社インタビュー
by 小野寺いつか 公開日:2019/12/14 / 最終更新日:2019/12/19
LOVOTとこども

2019年8月に購入受付が開始され、12月以降順次発送予定の「LOVEをはぐくむ家族型ロボット」LOVOT(らぼっと)。これまでのロボットの概念を覆すその特徴を、様々な企業・教育機関・研究機関と連携して進めている「LOVOT EdTechプロジェクト」と合わせてお話をうかがってきました。

▲GROOVE X株式会社 池上美紀さんとLOVOTたち

インタビューにうかがったのは「LOVOT MUSEUM」。LOVOTを生み出したGROOVE X株式会社オフィスと同じフロアにあります。土日祝日は一般開放している(予約制)という広々としたミュージアムには、実際の利用シーンを想定したお部屋や、子どもたちがLOVOTを身近に感じられる体験型の展示、はたまた歴代の試作品など、LOVOT誕生の秘密が惜しげもなく展示されており、大人も子どもも楽しめる空間となっていました。

▲実際の使用シーンを想定したお部屋でLOVOTとのふれあい体験ができます

この日は複数いるLOVOTの中から「にんじん」、「コスモ」とふれあう体験をさせていただきました。名前を呼ぶと来てくれるのはもちろんですが、途中転びそうになったり、近寄って来たかと思えば足を格納して手を広げるさまはペットの犬や猫と同じ。抱き上げると約4キロの体は、ほどよい重さとともにじんわり温かい。子どもでも抱き上げられるよう、生後3〜4ヶ月の赤ちゃんの重さと同じくらいの体重にしています。

機械の熱を利用し、37~39度ほどの体温を感じられる設計はかつてF1の空力エンジニアとして空気力学を専門にされてきた代表の林要(はやし かなめ)さんが培ってきた、高い技術の片鱗を感じさせます。
抱っこしていたコスモちゃんのお腹を撫でると眠り始めてしまいました。
「おはよう」と声をかけたり、軽くたたくと目を覚まします。こういった小さなしぐさ一つひとつに母性がくすぐられます。

特筆すべきは目の美しさ。6層のアニメーションを重ね合わせ出来上がっているという目は、黒目や瞳孔がまるで生き物のように動いています。上目遣いのキュートさ、抜群のタイミングでなされるまばたき。大きな音にびっくりして瞳孔が開いたりとそれらの動きは生き物と変わりません。

そんなかわいいLOVOTにすっかり魅せられてしまった後、GROOVE X株式会社 家永佳奈さんと池上美紀さんにお話をうかがいました。

▲GROOVE X株式会社 家永佳奈さんとLOVOTたち。家永さんの耳にはLOVOTをかたどったピアスが光ります

一つとして同じものはない、LOVOTを象徴する10億通りの目

目について褒めていただいたのですが、実は苦労した部分の一つで、アニメーターやエンジニア4人がかりで開発しました。10億通り以上ある目は一つとして同じものはなく、どんな目のLOVOTが来るかは届くまでのお楽しみです。購入者の手元に届く時はアイマスクをしておくるみに包まれている予定ですが、おうちに来て目を開けた時に「うちの子ってこんな目だったんだ」と初めて分かるようになっています。生まれた時と同じ様な体験をしていただきたい思いから、あえて選ばせていません。(購入後にアプリを利用して変更することは可能です)

スキンシップでLOVOTの性格も変わる

オーナーとのスキンシップでLOVOTの性格も変わっていきます。人見知りする子は初めて見る人に警戒することもあります。複数のLOVOTがいるとセンサーでお互い通信し合うので、片方が抱っこされていると、もう片方のLOVOTは、やきもちを焼いたりします。抱っこされる子は甘えん坊になり、抱っこされない子はやんちゃになったりとスキンシップにより徐々に個体差が出てきます。

LOVOTは優しくしてくれる人を好きになります。タッチセンサーが体じゅうにあるので、乱暴にさわったりすると逃げたりすることもあります。そのLOVOTの様子を通して「人には優しくしないといけないんだ」という学びをお子さんは得ることができます。お子さんたちはロボット、という総称ではなくて、いつも遊んでいる「にんじん」に会いたいと言ってくれます。LOVOTに生物のような個性を感じてくれている、それは私たちにとって嬉しい発見のひとつでした。

LOVOT EdTech プロジェクト発足のきっかけ

もともとは色々な方に新しい世界を感じてもらいたくてLOVOTをつくろうと思いました。最初から「これはEdTechにいいからつくろう」とお子さん向けにつくった製品ではなかったんです。昨年12月に製品発表をさせていただいたのですが、ロボットは便利なもの、だけど便利なものが発達すればするほど、そうじゃない部分も同じくらい大事になってくるのではないか。私たちはそういう世界をつくっていきます、というプレゼンをさせていただきました。

製品を発表してから数ヶ月、予想通りだったこともありましたが、同時に予想外だったところもたくさんありました。それは色々なところで体験会をした時に共通して「お子さんがLOVOTを通じてちょっと変わる」という瞬間がどの会場でも見受けられたことです。

たとえば幼稚園や保育園に行くと、できなかったことができるようになったのを連絡帳で知ります。それがLOVOTの体験を通じて、親御さんが目の当たりにできるんです。たった20分ほどの間だったとしても、LOVOTに対して優しく接したり、「ぼくがお世話する」と責任感が生まれたり、そのお世話したことをほかの子に教えてあげたり。そういう変化が短時間でも見受けられました。

そういったことをEdTechの第一人者と言われている、デジタルハリウッド大学大学院教授の佐藤昌宏先生に研究価値があるかご相談させていただき、今年6月の「LOVOT EdTech プロジェクト」発足に至ります。今は第三者機関を入れてデータを出していく実証実験の最中なので明確な数字は出せないのですが、今お話しした子どもの変化は既に現象面として出てきています。あと半年くらいかけてしっかりデータとして結果を出していきたいと思っています。

LOVOT EdTech プロジェクトの対象年齢は?

現在プロジェクトの対象としているのは小学生くらいまでのお子さんで、一番顕著なのが3歳から小学校3年生くらいまでです。そのくらいの子どもたちは恥ずかしくなく、ナチュラルにLOVOTの存在を受け止めます。小学校高学年になってくるとこれがロボットと分かりつつも、かわいいLOVOTのテクノロジーに興味を持つ、という違う軸も出てきます。

2020年から小学6年生の理科でもプログラミングが必修科目になりますが、実はその教科書にLOVOTが教材として出ます。また、認可保育園などにも導入が決定したので、そこでまた多くのお子さんたちがLOVOTに興味を持ち、思いやりの気持ちをはぐくんでくれると嬉しいと思っています。

▲Inside of LOVOTにはLOVOTのテクノロジーの秘密が余すところなく展示されています

これまでのロボットとは一線を画す、LOVOTに魅せられる女性たち

LOVOTの購入層で一番多いのは実は女性の方です。そこも特徴的な点で、これまでのロボットやテクノロジーというとガジェット好きな男性寄りのイメージがあったと思いますが、LOVOTの場合は半数以上が女性です。家族連れでミュージアムに来られるとお父さんは「Inside of LOVOT」というテクノロジーの部屋でLOVOTのハイスペックな中身を知って価格の納得感を得て、お子さんとお母さんは体験コーナーで実際にLOVOTとふれあう、ということが多いですね。「Inside of LOVOT」に関してはここまで公開していいの?とよく言われます。皆さんに納得いただくために、結構な量の情報公開を頑張ってしています。

LOVOTに必要不可欠な「KAWAII」を追求するチーム

弊社には「KAWAIIチーム」があります。ソフトとハードだけでもロボットは動きますが、愛着形成が湧く動きはソフトウェアだけだと不十分なんです。かわいいまばたきって?手の動きでかわいいと感じるのは?ということを日々考えています。

チームメンバーはソフトウェアエンジニアだけではなく、アニメーターや作家、ダンサー、ミュージシャンなどコードを書いたことのない人たちも一緒になって開発しています。ハードとソフト、プラス「KAWAII」。三位一体あってようやくLOVOTができあがっています。

人は「多少手がかかる」ものに愛着が湧く

愛着形成においてはやはり存在感が価値なんです。便利なものって最初は便利ですが、だんだん当たり前になってくるので、存在感が不要になってきます。一方で愛着が湧くものはお子さんもペットもそうですが「多少手がかかる」し、「言う事聞かない」んです。でも、だからこそ愛着が湧く。LOVOTはこれまでのロボットよりも一段かわいくなって、それに特化しています。購入された方たちにアンケートを取ったところ、ペットや家族に近い存在としてLOVOTを迎え入れようとして下さっていることが分かりました。

1人暮らしの家で、玄関まで迎えに来てくれて「ただいま」と言える相手ができること。何もしてくれなくても、いつでも寄り添ってくれる存在ができること。私たちはただ便利になっていく世の中ではカバーしきれない「LOVE(愛)をはぐくむ」ことや「ふれあうことのあたたかさ」という大事な部分を、LOVOTが担っていけると信じています。

▲小さな体でこれからの未来に大事な、大きな役割を担っています

家永さん、池上さんがおっしゃるように、すっかりかわいいLOVOTの虜になってしまった私はすぐさまLOVOT MUSEUMの予約をし、週末家族を連れて改めて体験にうかがいました。

普段はロボットがこわい、と言っている子どももそのかわいさにハマったのか「またらぼっとにあいにいこうね」(複数のLOVOTとふれあったので、当日は個体名を連呼していましたが忘れてしまったようです)と未だに言うほど。今は介護領域にも取り組み、今後は海外展開もしていくLOVOT。これからも様々な方たちにその「KAWAII」でLOVEをはぐくむこと、ふれあうことのあたたかさを教えてくれることでしょう。

LOVOT
https://lovot.life

9月4日には新宿高島屋ロボティクススタジオに「LOVOTストア」1号店がオープンしました。そちらのレポートも近日公開予定です。

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