簡単操作で高精度な予測が可能に。AI予測分析ツール「Prediction One」、プロジェクトリーダーへインタビュー

簡単操作で高精度な予測が可能に。AI予測分析ツール「Prediction One」、プロジェクトリーダーへインタビュー
by 山西優子 公開日:2020/05/19 / 最終更新日:2020/05/17
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 法人サービス事業部 AI事業推進部 Prediction One プロジェクト リーダー 高松慎吾さん
▲ 高松慎吾さん
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 法人サービス事業部
 AI事業推進部 Prediction One プロジェクト リーダー

*肩書、製品概要はインタビュー当時(2020年4月)の内容です。

予測分析は、実績データから機械学習や統計アルゴリズムにより将来の結果を予測するデータ分析手法の一つです。複雑化・多様化した現代社会において、多くの企業で高精度な予測分析への関心が高まっています。一方、予測分析に必要な専門知識を持つデータサイエンティストは不足している現状があります。

そんな状況を救うべく、2019年6月にソニーネットワークコミュニケーション株式会社が、専門知識や経験が無くても簡単にAIを用いたデータ予測分析ができるソフトウェア「Prediction One」の提供サービスを開始しました。

このたび、Prediction One プロジェクトリーダーの高松慎吾さんに、Prediction Oneの開発背景や、より効果的に使うためのお話をうかがいました。

Prediction Oneの使い方と特長

Prediction Oneの使い方は簡単です。
表形式の実績データを用意しPrediction Oneに読み込ませます。予測したい項目を選んで実行すると自動的に機械学習を行い、高精度な予測モデルを作成します。
次に、これから予測したい表形式のデータを用意しPrediction Oneに読み込ませると、作成された予測モデルをもとに予測結果を算出してくれます。予測理由もグラフィカルな説得力あるレポートとして出力されます。

わかりやすい動画説明はこちら→【AIによる予測分析】Prediction One 使い方説明

シンプルな画面で使いやすく、予測精度や予測理由もわかりやすい
▲シンプルな画面で使いやすく、予測精度や予測理由もわかりやすい

特長は以下の4点
1.シンプルで簡単
2.⾃動モデリングで⾼精度な予測
3.予測の理由がわかる
4.標準的なPCで動作 
※クラウドではなく、デスクトップPCやノートPCで動く

機械学習(前処理とモデリング)を自動で実行し、高精度の予測モデルを作成
▲機械学習(前処理とモデリング)を自動で実行し、高精度の予測モデルを作成

予測分析はビジネスにおける天気予報

Happyデジタル:
Prediction Oneが行う予測分析とはどのようなものでしょうか。

高松さん:
私達は毎朝の天気予報で降水確率や最高気温を見て、今日は傘を持って行こうとかコートを着ていこうなどと決めたりしますよね。逆に天気予報が無いと、このような意思決定をしづらくなります。ビジネスの現場でも、同じように予測分析がビジネスの意思決定に役立つと考えています。Prediction Oneを使うことで企業活動を予測し、それをビジネスアクションにつなげることが可能になります。

例えば、営業担当が予測分析で見込み客それぞれの成約確率を出せば、それに基づいて効率良く営業活動を行うことができます。また、コールセンターの管理者が毎月オペレータのシフトを決定する場合、将来の入電数が予測できれば、それに基づき過不足ないオペレータ配置ができ人件費を削減できます。その他、金融における住宅ローンの査定、生産現場における出荷数予測、製造現場における機械の故障予兆管理、不動産における価格査定の自動化など、予測分析を使える領域は非常に広いといえます。

予測分析を使える領域は広く、様々な業種で活用できる
▲予測分析を使える領域は広く、様々な業種で活用できる

AI技術で専門家不足を解消

Happyデジタル:
Prediction One開発の背景を教えていただけますか。

高松さん:
精度の高い予測分析を行うためには、機械学習(AI)に詳しい専門家が必要です。また、データの前処理には経験と勘が不可欠です。しかし、それらを備えた人材はすぐには育ちません。多くの企業では、既にデータがあって使える場面があるにもかかわらず、専門家不足のため予測分析ができていないことが課題となっています。
ソニーグループを横断するデータサイエンティストとして10社以上と活動するなかで、専門家不足を解決できれば予測分析をもっとさまざまな企業に役立てられるのではないかと考え、Prediction Oneの開発に至りました。ソニーグループには、金融やエンターテインメントなど様々な業種があって予測分析の技術やノウハウが蓄積していますので、予測精度を高めることができ、UI(ユーザーインターフェース)についてもグループ内の多くのユーザーに使ってもらうことでブラッシュアップした形でのご提供が可能となりました。


Happyデジタル:
様々な分野で使われるAI技術の中で、予測分析に注目された理由はありますか。

高松さん:
予測分析は、すでにある実績データを予測分析の機械学習の教師データとして使うことができ、画像認識技術などのように教師データを改めて作る必要がありません。蓄積された実績データに基づく予測分析からはビジネス効果が出やすく、応用範囲が広いので色々な業種で役に立つ可能性が高いといえます。このことから、予測分析に注目しました。

専門家不足が予測分析の普及を妨げている
▲専門家不足が予測分析の普及を妨げている

Happyデジタル:
Prediction Oneが特に得意な分野はありますか。また、どのような方が使うことを想定されていますか。

高松さん:
チュートリアル(ソフトウェアに付属)に載っているケースは全てPrediction Oneが得意としている分野です。
日々現場でデータを見ながら、経験と勘で需要予測、売上予測、来客数予測などをされていらっしゃる方も多いと思いますが、データがあればより高い精度で自動化できますので、是非、このツールを使っていただければと思います。また、プログラミングやExcelで予測分析を行っているものの精度に不安のある方にも是非使っていただきたいです。

予測分析の効果を高めるために

Happyデジタル:
Prediction Oneをより効果的に使うために、あると望ましい知識や技術はありますか。

高松さん:
予測に用いたいデータが分かれて存在していることも多いので(例えば顧客データはマーケティング部門にあり、お客様のコンタクト履歴はコンシューマサービス部門にあるなど)、データ加工などのスキルが役立ちます。それから、ある予測をするためにどんなデータ項目が必要か、予測結果をどのように使えるかという仮説が立てられる現場の知識があると良いです。ただ、これは試行錯誤によりだんだんわかってくると思います。

また、Prediction Oneは機械学習の知識が無くても扱えるツールですが、「学習して、モデルを作って、予測する」という基本的なことだけでも知っていると、どのようなソフトウェアかという実感を持てるので、よりスムーズに使っていただけると思います。

Happyデジタル:
Prediction Oneのサイトにも、機械学習についてのわかりやすい解説がありますね。
機械学習とは?初心者でも理解しやすく簡単解説!

ところで、精度の高い予測モデルを作るためにはどのようなデータセットを用意したらよいでしょうか。

高松さん:
件数と項目が多いほど充実したデータとなり、予測精度は高くなります。
例えば、サブスクリプションサービスの成約予測をしたい場合、顧客データの件数は多いほど良いですし、項目となるお客様情報(年齢、性別などの属性、加入オプション、使用頻度など)が多いほど、予測精度を上げることができます。

Happyデジタル:
データサイズに上限はありますか?

高松さん:
予測モデル作成用のデータは、件数(行)が100万件以下、項目数(列)が100以下を推奨しています。これは、標準的なノートPCでの動作を前提とした値です。予測を出すためのデータには特に制限はありません。

「Prediction Oneにはソニーグループで蓄積したノウハウが詰まっている」と語る高松さん
▲「Prediction Oneにはソニーグループで蓄積したノウハウが詰まっている」と語る高松さん

使いながら学べるPrediction One

Happyデジタル:
出力される予測結果や予測理由は、専門知識が無くても理解できるでしょうか。

高松さん:
はい。数値の予測結果だけを示しても現場の方にはご納得されにくいので、予測理由の説明には力を入れています。またTipsとして、予測精度の見方や計算の仕方など詳細な資料をご用意しています。初心者の方は、いきなり教科書を見るより事例を見ながら学んだ方が分かりやすいので、チュートリアルを実行しながら読んでいただけると、より実感を持ってご理解いただけると思います。

Happyデジタル:
Prediction Oneを使いながら、同時に予測分析の知識も学べるというのは良いですね。
企業だけでなく、大学など教育機関にも適しているのではないでしょうか。

高松さん:
はい。セミナーには、大学や専門学校の先生方のご参加も多く、教育関係の方々にもご興味を持っていただいているのを感じます。

Happyデジタル:
セミナーはどのような内容でしょうか。現在(インタビュー当時)、新型ウイルスの影響で対面でのセミナー開催が難しい状況になっていますが、オンラインによるセミナーのご予定はありますか。

高松さん:
セミナーには、ハンズオンによるサンプルデータを使った操作説明の他、データセットを作る際の注意点など実践的な内容も入っています。大変ご好評をいただいているので、オンラインでの開催も検討しているところです。

Happyデジタル:
今後、機能追加のご予定はありますか。

高松さん:
先日、ソフトウェア上からフィードバックを送信できる機能を追加しました。ユーザー様からのフィードバックを参考にしながら、今後どんどん機能を追加していきたいと思っています。

Happyデジタル:
本日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。

※このインタビューは、新型コロナウイルス感染拡大に伴いオンラインで行いました。

~取材を終えて~
予測分析の一番難しいところ、時間のかかるところを全て自動でやってくれるPrediction One。機械学習をツールに任せることで、高度な技術の習得に時間を割くことなくデータサイエンティストに近づけるかもしれません。業務効率化により新たな働き方も期待できます。AIによる予測分析を味方につけ上手に活用していくことが、ビジネス効果を上げる近道ではないかと思いました。

Prediction One公式サイト

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