データの力で未来を創る。「WiDS TOKYO @ YCU 第2回シンポジウム」開催レポート

データの力で未来を創る。「WiDS TOKYO @ YCU 第2回シンポジウム」開催レポート
by 倉井美穂 公開日:2020/06/02 / 最終更新日:2020/05/29
YCU WiDS TOKYO第2回シンポジウムキービジュアル

データサイエンス人材を育成するための活動を行う横浜市立大学データサイエンス推進センター主催による「WiDS TOKYO @ Yokohama City University 第2回シンポジウム」が2020年3月18日(水)にライブ配信にて開催されました。実にさまざまな分野で活躍する女性の皆さんが登壇、データ活用による仕事の変化や次世代データサイエンティストへの期待について語りました。シンポジウムの中から当日午前中に行われた講演とパネルディスカッションの模様をレポートします。

新型コロナウィルス拡大防止対策としてライブ配信での開催となりました
新型コロナウィルス拡大防止対策としてライブ配信での開催となりました

ビッグデータを活用して地球規模の課題に取り組む 岡村 直子さん

気候変動や海洋研究など、地球規模の研究開発に携わる文部科学省 岡村 直子さんは「ここ数年でデータサイエンスの役割が大きく変わった」と話します。以前のようなシミュレーションのためのツールというだけでなくデータの分析結果を通じて課題解決に役立てたり、分析結果の組み合わせから新たな社会的価値が創造されることが増えてきたのだそう。

文部科学省 大臣官房審議官 岡村 直子さん
文部科学省 大臣官房審議官 岡村 直子さん

「超スマート社会」の実現(Society 5.0)に向けデータサイエンス人材の育成は必要不可欠、そうした中で文章やデータを正確に読み取れる力、専門分野だけでなく幅広く好奇心が持てる方が求められています。学生時代の文系・理系という枠にこだわらず、人や社会と広く関わりさまざまな生活感や感性を持っている方に活躍してもらいたいと語りました。

データ活用で企業のエンゲージメントを向上する 伊藤 直子さん

個別発表のトップバッターとして登壇したのは(株)日立ソリューションズの伊藤 直子さん。日本の企業内で働き方に関するアンケートを実施、その分析結果からスマートライフソリューション=働き方改革推進をサポートしているのだそう。単にアンケート結果をまとめるだけでなく属性・役職など多彩な切り口から分析を行い、世代や役職を越えて信頼関係を持って働けるような施策を立案しています。

(株)日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 主幹技師長 伊藤 直子さん
(株)日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 主幹技師長 伊藤 直子さん

伊藤さんいわく「データ活用にはまだまだ壁があります。ハードルを下げるには ①効果に対する納得感を得ること、②データの蓄積には時間がかかることを理解してもらうこと、③プライバシー保護を厳格に実行していることを承認してもらうことの3つが大切」とのこと。何のためにやっているのか分からなくならないよう、データ取得の目的や課題を明確にすることを常に心がけているそうです。

施策の1つ、従業員の気分情報を収集して分析
施策の1つ、従業員の気分情報を収集して分析

データサイエンスでファッションを変える エマ 理永さん

一見、まったく異なる分野と思われるデータサイエンスとファッションデザインを見事に融合し、新しいデザインを創造したのがエマリーエ ファッションデザイナーのエマ 理永(旧名:松居エリ)さんです。

エマ 理永さんはファッションデザインの観点から登壇
エマ 理永さんはファッションデザインの観点から登壇

数学者とのコラボを実現し、AIを使った立体デザインワークでファッション界だけでなく学術分野でも話題になったエマ 理永さん。ご自身の過去のデザインだけでなく、回転と拡大、対数螺旋など数学的思考や自然界の法則を取り入れることでこれまでになかった新しいデザインが生まれました。

科学と数学からインスピレーションを得てドレスをデザイン(エマリーエHPより)
科学と数学からインスピレーションを得てドレスをデザイン(エマリーエHPより)

論理的思考が必要なAIやデータサイエンスと感性が重要視されるファッションデザインとでは対極にある印象を受けますが、エマ 理永さんによると「思考と感性はともに大切なこと。相反するものではなくて内包するもの」なのだそう。エマ 理永さんはこれまでにオートクチュールのドレスデザインを多数手がけており、今までの経験をテクノロジーを利用してデータ化することで一人ひとりの体型やリクエストに合わせたドレスをよりリーズナブルに制作できるようになったとも。今や時代の潮流ともなったファッションテクノロジーですが、ファッション好きな方だけでなく理数系を専門としている方にもぜひ足を踏み入れてほしいと語りました。

パネルディスカッション 〜次世代データサイエンティストへの期待〜

続いてWiDS TOKYOでアンバサダーを務める横浜市立大学 データサイエンス学部 小野 陽子准教授が進行役として加わりパネルディスカッションが行われました。

小野 陽子准教授(写真右)が進行役となり「データサイエンスは何でも解決してくれるのか?」をテーマに熱い議論が交わされました
小野 陽子准教授(右)が進行役となり「データサイエンスは何でも解決してくれるのか?」をテーマに議論が交わされました

印象的だったのは、それぞれ異なる分野で活躍されているにも関わらず皆さんが「データサイエンスとは人を幸せにできる分野である」と語っていたことです。データの利便性や活用性がクローズアップされるにつれて分析結果の有効性やセキュリティなどへの懸念も増していますが、パネラーの皆さんからは「データの有効性を最終的に判断するのはあくまで人間」、「データそのものは負でも正でもない、データの持つ清らかな部分を把握して人がとらえていくことが大切」と前向きなコメントが。データを武器に未来を切り開くデータサイエンティストという仕事に将来の可能性を感じました。

さらに午後からは科学技術振興機構の白木澤 佳子さんより「持続可能な社会へ向けたデータサイエンスの期待について」の講演や「SDGs目標達成を支えるデータサイエンス」をテーマとしたパネルディスカッション、産学連携フォーラムなども開催、データサイエンティスト人材のさらなるニーズの高まりを実感できたシンポジウムになりました。

詳しくはこちら

「WiDS TOKYO@Yokohama City University 第2回シンポジウム」

「株式会社日立ソリューションズ」

「EMarie エマリーエ公式サイト」

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